ファンドラップを継続的な取り組みにするには、思想的な部分の共有が欠かせない

ファンドラップを継続的な取り組みにするには、思想的な部分の共有が欠かせない

山陰合同銀行 アセットコンサルティング共同部長 友田耕生 様

山陰合同銀行様では、2018年よりウエルス・スクエアが提供するファンドラップ『Funds Club(愛称:ファンクラブ)』の取り扱いを開始。2023年11月現在、お客さまへ金融商品をご案内するコンサルティングプラザでは、各拠点ごとにファンドラップ担当者が在籍するなど、サービス推進に注力されています。

本部として、ファンドラップの重要性をどのように行内全体に浸透させていったのか。また、サービス推進においてどのような研修などのサポートを行っているのか。山陰合同銀行・アセットコンサルティング部長の友田様にお話を聞かせていただきました。聞き手はウエルス・スクエアの石窪です。

INDEX

ファンドラップは資産運用における土台

石窪:山陰合同銀行様では、お客さまを対象としたファンドラップのサービス展開を積極的に行っているように見受けられます。ファンドラップの重要性や取り組む意義について、行員の皆さまにはどのように伝えられていますか?

ファンドラップは資産運用における土台

友田様:当行は山陰地域における主要な銀行として、お客さまにとって大切なお金の管理を任されている責務があります。また、時代の変化と共に、お客さまの資産運用への関心が高まっており、特に将来のライフステージを見据えた資産管理へのニーズが増加しています。

そうした中で、お客さまのライフプランをしっかりとシミュレートし、お客さまの資産運用をサポートしていくことが大切である旨をメンバーには事あるごとに伝えています。

そして、資産運用において基盤となるサービスとして位置づけているものがファンドラップです。『Funds Club(愛称:ファンクラブ)』をお持ちいただくことで、定期的なヒアリングと資産配分の見直しを行いながら、資産運用の基礎となる部分を築いていくお手伝いをしていきたいと考えています。

当然ながら、マーケットが変動する中で、お客さまがよりリターンを追求したい場合は、それに適した金融商品の提案も行っていきます。資産運用全体を一軒家に例えるなら、土台となる一階部分がファンドラップ。お客さまのニーズや好みにあわせて自由にカスタマイズできる二階部分が投資信託といったイメージでしょうか。

石窪:そのような形で、他の金融商品との棲み分けをされているんですね。

友田様:そうですね。やはり、ファンドラップの最大の価値は、サービス導入時のヒアリングや定期的な運用報告などで、お客さまお一人おひとりと深くコミュニケーションできることだと思います。

お一人おひとりのお客さまの資産運用をサポートするコンサルタントが、お客さまのことを深く理解することで、最適なタイミングで最適な金融サービスを提案することも可能となります。実際、お客さまと会話を重ねるなかで、お客さまご自身やご家族のことを知り、保険などの商品を提案させていただく機会も広がってきているように感じています。

お客さまを中心に考えるとは何か?

石窪:実務的な部分についてお伺いしたいのですが、ファンドラップの推進にあたり、本部としてどのようなことを心がけていらっしゃるのでしょうか?

お客さまを中心に考えるとは何か?

友田様:ひとつ意識しているのは、ビジネスの季節性です

例えば、公務員の方々の場合、退職金が3月末に一斉に振り込まれますので、我々のほうで退職金定期預金のサービスを用意させていただきます。そして、定期預金の満期を迎えたタイミングで、これからの資産運用を考えたいというニーズをお持ちのお客さまに向けて、まずはライフプランシュミレーションをご案内し、お客さまの人生設計に合わせてファンドラップなどのサービスのご提案させていただく。

このように「このタイミングで、こういう状態のお客さまが、こういうニーズを持つであろう」と予測が立つ場合は、本部としてアクセントをつけて推進します。それはお客さま目線であり、我々のビジネスチャンスでもあるからです。

石窪:そういう意味では、「お客さまを中心に考えるとは何か?」といった思想的な部分の共有などは行内で行っていたりするのでしょうか?

友田様:そこは、ちょうど試行錯誤をしているところですね。山陰合同銀行では、本部メンバーを含めて300名近いメンバーが山陰両県にいますので、それだけの人数の考えを同じ方向に揃えていくことは容易ではありません。

現場のメンバーが送ってくれる日報に目を通し、お客さまの声や現場の空気感を感じ取るようにしているのですが、私自身も私が日々感じとっていることを毎日メールで全員に送るようにしています。そうした双方向なコミュニケーションをとる中で、「お客さまを中心とした提案とは何か?」という目線を少しずつ擦り合わせていっている状態です。

人事評価は重要だが、それだけでは不十分

石窪:少し立ち入った話になりますが、ファンドラップの推進において、人事評価制度における扱いについてお話を伺うことはできますか?

人事評価は重要だが、それだけでは不十分

友田様:やはり、我々のような地域銀行の証券ビジネスの目指すところは、売買手数料収入を中心とした「フロー型」ではなく、資産管理から発生する報酬を定期的に得ていく「ストック型」です。そのため、お客さまの大切な資産をお預かりし、資産残高を積み上げていくことが大切となります。

この考えが根幹にありますので、当然ながら評価体系においても、残高の積み上げに貢献したメンバーへの評価はしっかりと行っていきます。人事考課にも反映していきますし、持続的に積み上げてくれているメンバーを称える場を社内で用意するようにしています。

とはいえ、評価されるからといって、押し売りのような形でお客さまに提案してしまっては本末転倒です。思想的な部分をしっかりとメッセージとして共有しながら、実践してくれたメンバーをきちんと称えていく。この両輪が揃っていないと、ファンドラップのような投資一任ビジネスは上手くいかないだろうと感じています。

石窪:個々のメンバーのフォローアップをするために、本部から研修の場を設けたりするようなことはありますか?

友田様:山陰合同銀行のコンサルティングプラザでは、それぞれの拠点ごとにファンドラップの商品担当がおります。そのメンバーたちが中心となりながら、社内勉強会をはじめとした様々なフォローアップ施策を企画しています。

また、レベルアップという観点においては、御社であったり、野村アセットマネジメント様によるサポートは非常にありがたく感じています。様々な行員にインタビューしていただき、現場での課題感を踏まえた上で、様々なフォローアップ施策を定期的に企画していただいているので、大変感謝しています。

未来のビジネスのために、いま何ができるか?

石窪:最後に、ファンドラップの取り扱いを継続させた先に目指している将来像について、お聞かせいただけますでしょうか?

友田様:私は証券会社出身ですが、銀行の文化に新たに触れる中で、退職金の預かりに関するビジネスが特に印象に残っています。

大切な退職金を我々に預けていただくには、お客さまが新入社員として働き始めた際に当行で口座を開設していただくことがスタートとなります。これが長い年月を経て退職金へとつながるわけです。

投資一任ビジネスも同じで、このビジネスを積み上げていくことは、将来の山陰合同銀行の基盤を築くことに繋がります。同時に、貯蓄から投資へという社会の流れの中で、ファンドラップは資産運用をサポートするサービスの中核を成す役割を果たすでしょう。

目先のビジネスだけに囚われず、未来のビジネスのために、現役の我々になにができるか。こうした長期的な目線をもつことが、これからの山陰合同銀行、ひいては地域の未来を創っていくために重要となります。地域に暮らすお客さまお一人おひとりに寄り添った資産運用のサポートを通じて、持続可能な地域社会の成長に貢献していきたいと考えています。

未来のビジネスのために、いま何ができるか?

※所属部署・役職・対談内容については取材当時のものです。

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